概要01
渥美半島にある田原市は、花(か)き王国・愛知県を代表する菊の産地です。中でも葬儀や仏事で多く使われる輪菊は国内シェアの4 割をもちます。JA 愛知みなみが運営するマムポートセンター(田原市、以下MP)は、日本最大級の輪菊の集出荷施設で、生産者から持ち込まれた輪菊の選別・梱包・出荷作業を一貫して行います。MP では、より安定した出荷体制を確立させるため、このほどオークラのコンベヤを導入するなど施設内設備のリニューアルをはかりました。
動画02
設備導入の経緯03
今回設備がリニューアルされたのは、選花後に活用していた本数確認もできる5台の水揚げ箱詰めロボットの撤去にともなうものです。センサの読み取り不調など不具合が多く、解決策として人手作業の運用に変更しました。それにともない作業エリアへの空箱供給と実箱の搬出用設備として新たにオークラのコンベヤを導入し、トラブルのない出荷体制を整えました。
設備の特長04
3 段式ラインで省スペース
作業場内の中央には上下3 段(1880mm 高さ)で構成された全長約60m に及ぶオークラのコンベヤラインが設置されました。ラインの両側にはメイン装置となる計18 台の花ロボが並び、生産者から持ち込まれた輪菊を1 本ずつ等級別に高速選花し、所定本数ずつ自動結束します。結束された輪菊は、水揚げ箱詰めロボットに代わり作業者が本数確認し、出荷用の空段ボールケースに投入します。ロボットから人手作業になったことで、作業エリアや作業動線など広いスペースが必要となりましたが、コンベヤラインを3段式(上2段が空箱ライン、最下段が実箱ライン)に省スペース化したことで、解決することができました。

中央に3 段式のコンベヤライン(破線の囲み部)が設置され、左右に18 台の花ロボが並ぶ

3 段構成のオークラコンベヤ。上2 段が空箱、最下段が実箱搬送 ライン
空箱取り出しも簡単
このラインではユニコンV のラインドライブタイプが使われ、通常はラインプレッシャで密着した空箱は取り出しにくいため、各 花ロボの近くに設けた18 カ所の取り出し口は、ストッパ制御でフリー状態にし、簡単に取り出せるようにしています。輪菊は 1 箱に160 ~ 200 本が詰められ、最下段ラインで下流の自動梱包機から冷蔵自動倉庫へ運ばれ出荷を待ちます。

空箱の取り出し部はストッパ制御でフリー状態になっているため簡単に取り出せる

最下段のラインに投入され下流へ搬送される
お客様の声05
輪菊生産者さんの出荷にともなう作業負荷を軽減し、本来の品質向上や規模拡大に注力していただくことがMP の役割 で、現在約200 名が利用されています。今回、強い農業づくりに向けた補助金も活用し、新たにオークラさんの搬送ラインを 導入するなど作業改善をはかり、さらなる効率化と安定した出荷能力の確保を目指しました。おかげさまで順調に稼働を続 けています。日本最大規模の出荷施設としての機能をフルに発揮し、地元農業の振興を支援してまいります。
- 会社名
- 愛知みなみ農業協同組合(JA 愛知みなみ)
- 事業内容
- 田原市を拠点とした営農経済事業を
中心とした総合農協。 - ホームページ
- https://www.ja-aichiminami.jp/

※本記事内容は2025 年7 月に取材した内容を元に構成しています。
記事内の数値データや組織情報は取材時のものとなります。